おはよう、アンナ (母性の光輝 その二)

作品情報

アップロード時間 2025年3月26日
画像の数 4
タグ 皇女陥落 、長編連載

作品の説明

夢の奥底で、アンナはまるで目に見えない力に引き戻されるように、息苦しい過去へと連れ戻された。ぼやけた映像でありながら、あまりにも現実味を帯びている。彼女は捕虜たちと共に拘束され、その様子を見せつけられていた。空気中には血なまぐささと腐臭が漂っている。彼女の心臓は、これから起こる苦痛を予感するように、胸の中で激しく鼓動していた。

突然、母の声が彼女の耳に響いた。弱々しいながらも、どこか優しさを帯びている。「おはよう、アンナ。お母さんは、あなたがきっと強く立ち向かうと信じているわ。お母さんだって頑張っているんだから。」その声は、まるで朝一番の陽光のように、夢の暗闇を突き抜け、アンナに一筋の慰めを与えた。

目の前の光景に、アンナの心臓はほとんど止まりそうになった。母は粗末な麻縄で縛られ、汚れにまみれ、獣人たちに乱暴に汚れた食卓へと押し上げられた。膨らんだお腹、濃い色の乳輪、そして長年の折檻によって今にも崩れそうな乳房は、彼女が受けたであろう計り知れない苦痛と屈辱を物語っていた。アンナの心は張り裂けそうになり、ほとんど直視することができなかった。

一人の強壮な獣人が、容赦なく母の乳房を掴み、粗暴に乳汁を搾り出した。乳汁は半分の壺に流れ込む。幼い獣人たちが群がり、その汚れた「朝食」を奪い合う。中には吐き気を催す腐肉まで混ざっている。アンナは吐き気と怒りを覚えたが、身動きが取れず、ただただこの惨劇を見ているしかなかった。

「ほら、遠くに見えるのがエリス峰よ……なんて美しいんでしょう……」母の声は、相変わらず穏やかで、まるで美しい童話を語っているかのようだった。彼女の視線は遠くへと向けられ、そこはエリレニアの国境であり、アンナがいる場所だった。「……それを越えればエリレニアの国境よ。あなたがあちらにいるのね。もうすぐ起きる時間でしょう。」母の口調には、娘への気遣いと励ましが込められていた。

母が優しく囁くのと同時に、一人の若い獣人が背後から乱暴に彼女を犯した。母の顔には、抵抗や恐怖の色は微塵もなく、ただただ心が痛むほどの麻痺と忍耐だけが浮かんでいた。まるで、すでにすべてを受け入れているかのようだった。この光景に、アンナの心は粉々に砕け散り、彼女は尽きることのない悲しみと絶望に襲われた。

しかし、この絶望の中で、母の声が再び響いた。「アンナ、お母さんはあなたを信じているわ。あなたはきっと強くなる。お母さんはいつもあなたを守っているわ。」その言葉は、まるで火種のように、アンナの心の奥底にある希望と力を灯した。

夢の中の光景は次々と変わり、アンナは母が過去の歳月の中で経験したであろう様々な苦難と葛藤を見た。母は獣人たちの折檻に遭いながらも、娘への愛と気遣いを決して諦めなかった。彼女は最も暗い瞬間に、それでも優しい声でアンナを励まし、強く、勇敢であるようにと語りかけた。

最終的に、夢の中の母はゆっくりと振り返り、まるで「アンナ、お母さんはいつもあなたと一緒にいるわ」と言っているかのように、微笑みを浮かべていた。その瞬間、アンナは心の底から湧き上がるような力強い力を感じた。それは、母の愛と忍耐が彼女に与えた力だった。

夢は徐々に消え去り、アンナは夢から覚めた。目には涙が浮かんでいたが、彼女の心は新たな希望と決意に満ち溢れていた。彼女は、母の愛と強さが、常に彼女に寄り添い、未来のすべての試練に立ち向かう手助けとなることを知っていた。彼女はその力を胸に、彼女の王国のため、彼女の母の犠牲と尊厳のために戦うだろう。

獣人たちは、最も残酷な方法でアンナの母親を痛めつけ、それによって彼女の意志を完全に打ち砕こうとした。彼らは成功したのだろうか?おそらく、かつてはそうだったのだろう。アンナの精神は、母親が辱められる光景を目撃した後、ほとんど崩壊し、身体の傷も消えにくいものだった。しかし、夢の中の母親の姿、特に非人道的な拷問の中で見せた忍耐と愛は、アンナが生まれ変わるきっかけとなった。悪夢のような記憶は彼女を飲み込むどころか、彼女の心の奥底にある不屈の炎を燃え上がらせた。彼女は、苦痛と愛が絡み合ったこの力を持って、再びカロンに立ち向かい、獣人に立ち向かい、未来のすべての試練に立ち向かうだろう。彼女の王国のために、そして母親の犠牲と尊厳のために。